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学会賞  

日本沿岸域学会論文賞及び論文奨励賞応募について

令和6年度 日本沿岸域学会出版・文化賞応募・推薦について

学会賞規定改正

JAMSTEC中西賞推薦規定

研究討論会優秀講演表彰規定


2023年度 学会賞   

論文賞 脇田 和美人、杉野 弘明、鈴木 崇史、森本 昭彦
沿岸住民が描く瀬戸内海の望ましい姿〜目指すべき「豊かな海」の具体化に向けて〜
(沿岸域学会誌2022年Vol.35,No.4登載)
 本論文は、瀬戸内法の改正に伴い、各地域が主体となって推進する目指すべき「瀬戸内海の望ましい姿」を明らかにすることを目的に、沿岸住民の瀬戸内海への意識を把握したものです。  本論文では、兵庫県と香川県住民を対象とするアンケート調査を行い、自由連想法により得られた回答をテキスト分析と、上位頻出語について年代別・県別にコレスポンデンス分析しています。その結果、瀬戸内海がこのままきれいな海で、住民に海の恵みを与え続け、それを基盤とした地域の発展を望むこと、回答者のうち20~30代は地域の発展を、50~60代は現状の環境維持を、40代はその中庸を望む傾向があること、兵庫県回答者は食料供給サービスとしての海産物の豊かな海を、香川県回答者は文化的サービスとしてゴミのないきれいな海を望む傾向があることを明らかにしています。これらの知見と分析手法は、瀬戸内海の将来像を検討する上で有用な資料になるとともに、わが国の閉鎖性海域が抱える課題解決にも資すると考えられます。  これらのように、本論文によって明らかとなった事実と論考は、沿岸域研究へ大きく貢献するものであると言えます。  以上を総合して、本論文を論文賞受賞に相応しい論文として推薦します。
論文賞 中原 尚知、岩田 繁英、婁 小波
沿岸域生態系の経済価値と認知度による影響
(沿岸域学会誌2021年Vol.34,No.4登載)
 近年、海洋開発・海洋経済発展概念であるブルーエコノミーが世界中で広がっており、多くの国々においてその関連研究と政策が進められています。日本にもその波が引き寄せており、海洋環境・生態系価値に対する適切な経済評価の必要性・重要性は、以前にも増して高まっています。そうした中、本論文は、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」の一つとされている沖縄県伊是名島を対象として、選択型コンジョイント分析を用い、沿岸域生態系への認知度がその価値評価に及ぼす影響を分析しています。その結果、認知度により限界支払意志額が異なること、認知度によって評価結果の統計的な信頼性にも変化が生じていること明らかにしています。さらに、これらを踏まえ、認知度を加味した推定方法を提案しています。本論文は、沿岸域生態系に対する経済評価の精度を高めるための新たな評価手法と知見を提供したものであり、その有用性は高いと評価できます。  これらのように、本論文によって明らかとなった事実と論考は、沿岸域研究へ大きく貢献するものであると言えます。  以上を総合して、本論文を論文賞受賞に相応しい論文として推薦します。
論文奨励賞 中村 翼、進士 淳平・松井 隆宏
カキ養殖における漁場の配分方法とその規定要因 -漁場の質と利用方法に注目して-
(沿岸域学会誌2022年Vol.35,No.4)
 本論文は、三重県鳥羽市浦村におけるカキ養殖を事例に養殖漁場配分ルールの実態とその規定要因を明らかにすることを試みています。本論文では、漁場の利用方法を漁場環境(クロロフィルa濃度、流速、流向など)に関連づけて分析しています。その結果、漁場は抽選方式を基本として漁業者に配分されていることを明らかにしています。さらに、最も環境条件の良い漁場は全員で平等に利用し、その他の漁場において相対的に小規模な漁業者に若干の配慮をするという、コミュニティ内における独自の公平性の基準により、配分方法や利用ルールが作成されていることを明らかにしています。また、それらに関わる漁業者の漁場の質やその配分に関する経験的な判断の妥当性を、環境調査で取得した実際のデータより確認しています。これらの事実は、漁場の環境特性が漁場の配分方法の規定要因の一つであることを実証的に示しています。 これらのように,本論文によって明らかとなった事実と論考は,沿岸域研究へ大きく貢献するものであると言えます。 以上を総合して,本論文を論文奨励賞受賞に相応しい論文として推薦します。
出版・文化賞 四国防災八十八話・普及啓発研究会による一連の防災に関する普及啓発活動
団 体:四国防災八十八話・普及啓発研究会
 四国防災八十八話・普及啓発研究会は、国土交通省四国地方整備局が企画を行い、愛媛大学防災情報研究センターが事例を収集し、四国防災八十八話検討委員会により編纂された「〜先人の教えに学ぶ〜四国防災八十八話」 の冊子を防災学習の題材として活用するために発足した団体である。当該冊子の普及啓発活動として、内容をダイジェストし、わかりやすく視覚的にとりまとめた「〜先人の工夫や知恵に学ぶ〜四国防災八十八話」マップを発行し、地域の防災教育の教材とするとともに、冊子に記載されている様々な教訓や,それらに関係する情報を紹介するWebサイト「四国防災八十八話倶楽部 from Tokushima」を運営し、最新の情報を発信している。 本活動は、四国各地に残る水害、土砂災害、地震・津波、高潮、渇水に関する物語や言い伝えを丹念に収集する学術的な調査研究と、収集された資料を「史実」「今日的な教訓」「災害の種類」「時代」「地域」を元にわかりやすく再整理したことが特徴である。その結果を、学習者の主体的な学びを促す教材を静的資料(マップ)、動的資料(Webサイト)として提供することで、地域における多角的な防災学習・普及啓発活動に活用できる貴重な資料・機会を提供している。 こうした取り組みは、沿岸域の重要性の理解と認識向上等に顕著に貢献するものであり、日本沿岸域学会の出版・文化賞の候補となるにふさわしいと思慮し、ここに推薦する。
出版・文化賞 海辺の国際環境認証ブルーフラッグの取得に関する支援や海の環境教育に特化した市民大学の運営を通して「海を守り未来をつくる」活動を展開
団 体:NPO法人湘南ビジョン研究所
 我が国の沿岸域に相当する竹島周辺海域については、韓国政府もまた管轄権を主張し各種政策を執り行っている。しかし、竹島の領有権に関する研究ばかりが蓄積される一方で、韓国政府が行っている海洋政策への知的関心は明らかに低かった。例えば、韓国政府はいかなる意図(対日不満)の下、竹島周辺海域でどのような行動をとってきたのかという素朴な疑問に答えることができる研究さえ、ほぼ皆無である。このことが結果的に我が国および韓国における竹島理解を制約していたと言える。本書は、この点を正面から扱うべく、先行研究が極めて少ない中、韓国側の国会議事録や各種政府報告書を丹念に一つずつ読み込んでいくなど極めて長い時間を要する地道な作業を積み重ねて、韓国の諸政策の事実関係を整理したもので、その研究成果は画期的であると言える。 以上を総合して、本書は出版・文化賞受賞に相応しいと判断した。
出版・文化賞 改訂新版 港湾工学
出版社:朝倉書店(2021年3月31日発行)
編著者:(一社)港湾技術コンサルタンツ協会
 朝倉書店刊「改訂新版 港湾工学」は、港湾技術に関する必携テキストとして、港湾の基礎技術 から、LCM、情報化施工、脱酸素化、洋上風力、デジタライゼーション、自動荷役等 PORT2030を支える最先端の港湾技術までを学ぶことができる啓発書である。本書の記述は、港湾界を代表する専門家が共同で執筆にあたり、誰でもが理解できるように工夫されている。本書は、2021年10月の出版以来、港湾関係の久々の専門書として好評を博し、港湾分野におけるインフラマネジメント研究を目指す大学、研究機関の若手研究者、シンクタンクやコンサルタントの技術者に加え、一般の学生を中心に購買数を伸ばし、専門書としては、版を重ねる破格のベストセラーとなっている。特に、技術士等の資格取得を目指す者にとっては、必携テキストとして好評である。 このように、本書は、内容、読みやすさ、利用価値、購買数等の観点から、港湾関係の良書として、世に認められているといえよう。本書を「出版・文化賞」の候補として推薦する。なお、本書は、2009年刊行「初版」、2014年「新版」に続く三訂版であるが、執筆内容を最新の港湾技術を大幅に取り入れたことから「改訂新版」とし、(一社)港湾技術コンサルタンツ協会が創立10周年記念事業の一環として、総力を挙げて、企画・出版した書籍である。
功労賞 受賞者:柴山 知也


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