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学会賞  

平成28年度 学会賞

論文賞 塩入 同
「地方自治体が主体となった沿岸域総合管理に向けた全国沿岸市町村の財政実態の把握」
(沿岸域学会誌Vol28,No.1,pp.49-60)
本論文は、沿岸市町村の財政実態を整理し、沿岸域総合管理に向けた財政上の課題を明らかにした社会的意義および有用性が高い研究である。これまで沿岸域という括りでは整理されていなかった全国の市町村を、GISを用いて行政区域が海岸線と接する市町村を抽出し、それら市町村を“沿岸市町村”として整理する新しい試みを行っている。また、それらの市町村運営を支え地域の営みの特徴を映し出す住民税や固定資産税などの地方税収入に着目して沿岸市町村の財政実態を整理し、沿岸域総合管理に向けた財政上の課題を明らかにしている。例えば、重要港湾や発電所等の主な沿岸施設を有しない自治体における、沿岸域総合管理に向けた継続的な取り組みに対する自主財源の確保の問題を浮き彫りにしている。 沿岸域の総合的管理を推進する上で非常に重要となる沿岸市町村の規模や財政の実態等の基礎情報をデータベース化した意義、基礎データとしての有用性は極めて高く、本研究の社会的意義ならびに沿岸域研究への貢献は大きいと言える。以上を総合して、本論文は論文賞受賞に相応しい論文と判断した。
論文賞 秋本 悠喜、桜井 慎一
「教訓を後世に伝承する津波碑の保存整備に関する研究」
(沿岸域学会誌Vol28,No.3,pp.29-40)
本論文は、津波教訓碑に関して、従来の史的研究の視点ではなく実際の運用の視点から整理し、教訓碑の市民認知を向上させる解決策を提案した社会的な意義が高い研究である。 全国に現存する118基の教訓碑に対して実際に現地に赴き、建立状態、視認性や判読性を調査・整理した結果は、基礎的な貴重な情報を提供している。また、その整理結果から、教訓碑は本来地域の人々に教訓を伝承する目的であるにもかかわらず、風化による判読性の劣化、道路の拡幅工事に伴う移設や他の看板等による認識性の低下などの問題が、数多くの教訓碑で共通していると言う興味深い結果を導き出している。さらに、それぞれの問題に対して、調査によって得られた好事例を参考にして、実現可能性の高い具体的な対策案を提案している。 5年前に東北地方太平洋地震に伴う津波により多大な被害を受けた今、改めて津波教訓碑を見直すタイミングであり、主題および内容共に時宜を得た沿岸域研究への貢献は高い研究と言える。以上を総合して、本論文は論文賞受賞に相応しい論文と判断した。
論文奨励賞 菅原  遼
「都市部の水辺の社会実験に見る事業スキームに関する研究」
(沿岸域学会誌Vol28,No.1,pp.61-70)
文内容については、河川敷地占用規制緩和措置に基づいて10の大都市都心部河川で実施されている「水辺の社会実験」の事業スキームの比較評価を行った非常に意欲的で社会的な有用性が高い研究である。 これまで個別事例が主体だったこの種の事業評価を、全国10事例を集めて横断的に比較検討した着眼点および手法に高い独創性がある。 また、10事例の事業スキームを、完成度が高い文体図表を用いて判り易く整理しており、事例の相互比較を容易にでき、今後のこの分野の沿岸域研究の基礎資料としての価値が非常に高いものになっている。 さらに、各事例の水辺における占用事例を丁寧に調査し、そのスキームにおける協議会の関与、実際の空間づくりに関する分析など、今後の水辺の研究、空間設計・計画に対して有用な示唆に富んでいる。 筆頭著者には、今後とも一層この領域での研究を継続し発展されることを期待して、論文奨励賞受賞に相応しい研究者と判断した。
出版・文化賞 該当なし
功労賞 磯部 雅彦(前会長)

JAMSTEC
中西賞
秋本 悠喜、桜井 慎一
「教訓を後世に伝承する津波碑の保存整備に関する研究」
(沿岸域学会誌Vol28,No.3,pp.29-40)
本論文は、委員会において審議した結果、論文の完成度が他1件よりも高く、主題および内容共に時宜を得た沿岸域研究への貢献が高い研究と判断した。


研究討論会優秀講演賞

宮下寿哉(横浜国立大学大学院)
「流速と堅牢建物の考慮が津波ハザードマップに与える影響」

村田一城(日本大学大学院)
「MPS 法による沿岸域構造物に作用する津波漂流物の衝撃力と漂流挙動特性に関する研究 その2」

佐々木友子(国土交通省国土技術政策総合研究所)
「我が国と韓国・中国北部地域との国際フェリー・RORO船貨物流動に関わるロジットモデルの構築」

朝原大貴(大成建設)
「フナフチ環礁ラグーンの吹送流がラグーン流動場および海水交換に与える影響」

川嶋良純(茨城大学大学院)
「広領域を対象とした氾濫シミュレーションの精度向上を目的とする簡易なDSM補間方法の提案」

橋本宗侍(日本大学)
「荒川を通じて東京湾に流入する放射性物質量の推定について」

Sameera Samarasekara (The University of Tokyo)
「Assessment of Contribution of Upgraded Coastal Infrastructure for Tsunami Mitigation:  Improving Community Resilience in Developing Coastal Regions」

森田雅子(日本ミクニヤ梶j
「海域での簡易的な送水技術の一考察」 (順不同)


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