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学会賞  

平成27年度 学会賞

論文賞 岡田 知也、井芹 絵里奈、古川 恵太、渥美 雅也
「港湾域に存在する浅場の生物生息場としての活用」
(沿岸域学会誌Vol27,No.1,pp.61-69)
本論文は、これまで生物生息場として着目されていなかった港湾域において、浅場の存在量と空間分布を定量化し、今後の生物生息場としての港湾域の浅場の有効活用について提案した新規性の高い研究である。浅場の測定に関しては、地上レーザと音響測深機を併用する新しい手法を用いて、既往の深浅測量では測定が困難であった潮間帯を含む陸域から水域までの連続的測量を可能にしている。東京港内の運河域を対象として調査を実施し、夏季の貧酸素化の状況下でも生物生息機能が高い水深3 m以浅の浅場が調査対象面積の18%あること、また、これらの浅場は、広域に点在していたことを示している。これらの調査結果から、東京港内において、生態系ネットワークや生活史を考慮した広域的かつ持続可能な生物生息場の創造の可能性を示してる。さらに、東京港港湾区域内のほぼ全域を対象にした同時的な定量的調査結果は、今後の東京湾奥部における環境改善や生態系ネットワークの解明及び構築を考える上で、非常に貴重なデータベースと言える。以上を総合して、本論文は当学会の論文賞に値すると判断した。
論文賞 武田  淳、及川 敬貴
「協働型資源管理にみるエコ統治性の諸相 
コスタリカにおけるウミガメの保全事業を事例に」
(沿岸域学会誌Vol27,No.3,pp.51-62)

本論文は、エコツーリズムの先進地かつ環境政策において高い評価を得ているコスタリカにおいて、「環境による統治」を国家と地域の両側面から分析したものである。地域事例としてオスティオナル村のウミガメ保存保全事業を取り上げ、協働型資源管理の構築プロセスを、参与観察と言う実践的な手法を通じた地域視点の現地調査に基づいて明らかにした非常に意欲的な論考である。オスティオナル村では、「上からの」エコ統治性を反映した保護区という制度を、逆に地域のガバナンスのツールとして利用していることを、現地調査から明らかにしている。この様な住民と保護区による協働資源管理が構築された過程を整理することによって、地域社会を「上からの統治」の客体として捉えていた従来のエコ統治論とは異なり、地域社会がエコ統治性の客体でありながら、同時に、その主体としても存在し得ることを結論付けている。また本論文は、環境保全と慣行的な資源利用を主張する地域住民との軋轢という同様な課題を抱える世界各地域への大きな示唆を与える影響力を持った論文と言える。以上を総合して、本論文は当学会の論文賞に値すると判断した。

論文奨励賞 該当なし

出版・文化賞 出版物:「日本の港湾政策 ―歴史と背景―」
(2014年3月18日発行)
著者:黒田 勝彦
日本の港湾は、この20年余、世界における物流構造の激変と飛躍する船社のビジネスモデルに直面してきた。日本で基幹航路は維持できるのか、基幹航路維持を担う港湾運営の主体はどうあるべきかが、多くの識者の問題意識となっている。
本書は、この問題を解くために不可欠な日本の港湾施策とその背景を正確に認識することができる。編著者は、長きにわたり日本の港湾政策・計画・運営に関わられ、その知見と見識を書として世に出された。今、多くの識者・港湾人が強く望むところであり、出版・文化賞にふさわしい書籍であると評価した。

出版・文化賞 出版物:「海と湖の貧栄養化問題 〜水清ければ魚棲まず〜」
(地人書館,2015年3月31日発行)
編著者:山本民次、花里孝幸

1970年代のわが国では水域の富栄養化が進行し、赤潮が発生して問題となったが、その後の水質改善の努力が功を奏し、質は良好になってきた。しかしその一方で、窒素やリンなどの栄養塩不足、つまり「貧栄養化」が原因と思われる海苔の色落ちや漁獲量低下が報告されている。本書は、すでに問題が指摘された瀬戸内海、諏訪湖、琵琶湖における水質浄化の取り組みや、長年にわたる水質データ、生態系の変化などから「貧栄養化問題」の背後にあるプロセスとメカニズムを浮き彫りにした最新の書であり、出版・文化賞にふさわしい書籍であると評価した。

功労賞 該当なし


JAMSTEC中西賞

岡田 知也、井芹 絵里奈、古川 恵太、渥美 雅也
「港湾域に存在する浅場の生物生息場としての活用」
(沿岸域学会誌Vol27,No.1,pp.61-69)
本論文は、委員会において審議した結果、新規性が高く、沿岸域の有効活用に資する大変有用な研究と判断した。以上のことより、本論文は他1件の論文よりも優れた論文と評価した。


研究討論会優秀講演賞

武田淳(横浜国立大学大学院)
「協働型資源管理にみるエコ統治性の諸相 -コスタリカにおけるウミガメ保全事業を事例に-」

武藤弘晃(東京大学大学院)
「漁協直販所における販売実態分析と仕入検討モデルの構築」

久松力人(潟Cンターリスク総研)
「貨物コンテナの高潮リスク評価ための被害率曲線の構築」

西野拓人(椛蝸ム組)
「東日本大震災を契機とした「高台移転」における高台部居住の維持に関する研究」

渡邊 亮(日本大学)
「津波ハザードマップの記載・表記内容の統一性に関する研究−静岡県19市町を対象とした考察−」

山崎正稔(茨城大学)
「EOS-Terra/ASTER を用いたマングローブ域抽出に関する研究-ミャンマー沿岸域を対象として-」

清水麻里(千葉工業大学大学院)
「千葉県の砂浜における海浜植物の生息場の特性分析 ― 千葉県房総市岩井海岸を例として―」

星野智史(日本大学大学院)
「時刻歴行動シミュレーションを用いた沿岸域の津波被害評価に関する研究
(第1 報 防波堤の有無が津波被害特性に与える影響に関する検討)」

栗原圭梧 (横浜国立大学大学院)
「粒径を考慮した前浜地形変化モデル開発の試み」

(五十音順)


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