★ 学 会 賞 −平成21年度−★
| 論文賞 | 桑原祐史、横木裕宗、佐藤大作、山野博哉、茅根 創
「ツバル国フナフチ環礁における沿岸域土地被覆変化の解析」(沿岸域学会誌Vol.21 2掲載) |
| 本論文は、狭く低平な土地であるツバル国のフナフチ環礁フォンガファレ島に着目して、沿岸域の土地被覆の現状とその変化を、現地調査と衛星画像などの解析から明らかにしたものである。沿岸植生が宅地の増加に伴って減少してきたことを、現地調査と画像・写真などのデータ分析をもって裏付けたことなど、現実の現象の解釈に焦点を絞った実用性の高い論文である。本論文で採用した手法は、フォンガファレ島以外さらにはツバル以外の環礁州島の解析が可能であるなど汎用性も高いといえる。以上のことから、水没しつつある島嶼における今後の沿岸域管理に関して重要な知見を提供している論文と評価した。さらに、リモートセンシング、地形学、海岸工学などの複数の専門分野にまたがった考察を行っており、学際的な学会としての日本沿岸域学会の趣旨にも合致した論文である。 | |
| 論文賞 | 佐々木直美、多部田茂、北澤大輔
「負荷や地形の変化を考慮した東京湾生態系の長期連続シミュレーション」(沿岸域学会誌Vol.21 4掲載) |
| 本論文は、東京湾を対象として、水質と底質の連続した変化を考慮した数値モデルを構築し、人間活動に伴う負荷の変化に対応した水質の悪化や改善の連続したシミュレーションを行ったものである。このような数値シミュレーションを用いた水質(浮遊系)や底質(底生系)に関する研究は多くあり、最近では浮遊系、底生系の両者を扱ったモデルも開発されているが、長期の水質変遷を連続的に扱っているものは極めて少ない。これに対して本論文は、半世紀を越える長期間の連続したシミュレーションを可能とした新規性の高い論文である。モデルの構築とその検証に関しては、既往文献との対比を行い客観的に考察が述べられており信頼性も確保されている。以上のことから、東京湾などの閉鎖性水域への流入水の水質改善策や浅瀬造成の改善策の事前評価の一助になりうる有用性の高い論文と評価した。 | |
| 論文奨励賞 | 該当なし |
| 出版・文化賞 | 出版物:「川と海 −流域圏の科学−」 編者:宇野木早苗、山本民次、清野聡子 |
| 本書は、川と海を含む流域圏を総合的に捉えて理解し、管理する機運の高まりに応えるべく編まれたものである。これまでの河川改修は防災という観点から行われてきており、河川改修によって海の生態系がどのような影響を受けるのかについては十分な検討は加えられてこなかったといえる。本書の編著者3名はいずれも海から川上を見ている研究者であり、沿岸海域の物理・生物・化学のみならず、社会科学的側面についても述べられている。ダムや河岸の変形について、今後は海域への影響を考慮せねばならず、ダム・河川等の研究者および工事担当者はもとより、流域圏を含む沿岸域管理に携わる研究者等にとって有用なものと評価した。 | |
| 出版・文化賞 | 出版物:「COASTAL PROCESSES −Concepts in Coastal Engineering and
Their Applications to Multifarious Environments−」
著者:柴山知也(Tomoya Shibayama) |
| 本書は、World Scientific社の「Advanced Series on Ocean Engineering」の第28巻として出版されたものである。同シリーズの著者はいずれも世界的に著名な海岸工学、沿岸域研究に携わる研究者であり、日本人として二人目となる。本書は、著者の22年間の海岸工学、沿岸域防災に関する研究を総括するとともに、著者の研究室を巣立った23人の博士達の在学時の研究業績を紹介しつつ、最新の研究状況も述べたものである。23人の中には、カナダ、イギリス、ベトナム、タイ、イラン、インドネシア、スリランカ、タンザニア、韓国、中国、日本などの大学の現教職員が含まれており、各国での大学の教科書として使用されるなど有用なものと評価した。 | |
★ JAMSTEC中西賞 −平成21年度−★
| 佐々木直美、多部田茂、北澤大輔
「負荷や地形の変化を考慮した東京湾生態系の長期連続シミュレーション」(沿岸域学会誌Vol.21 4掲載) | |
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論文賞候補の「ツバル国フナフチ環礁における沿岸域土地被覆変化の解析」、「負荷や地形の変化を考慮した東京湾生態系の長期連続シミュレーション」について、当該論文に対する論文編集委員会における審査時の評価も参考としながら、学会賞選考委員会において審議した結果、JAMSTEC中西賞候補に値すると判断した。 本論文は、論文編集委員会における査読時の新規性、有用性に関する評価、並びに論文賞に関する評価について、いずれの評価も他1件の論文より高い評価を得ている。さらに、委員会において審議した結果、本論文は、信頼性が確保された長期間のシミュレーションを可能としたことに高い新規性を有していると判断した。以上のことより、本論文は他1件の論文よりも優れた論文と評価した。 | |
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